美容院を開業する時のお金の集め方~創業融資~

美容師として働く人の中には「いつかは自分の店を・・・」と思う人もいるでしょう。

店舗のデザイン、立地やコンセプトなど夢は広がります。

ただ、自分で開業をするとお金が必要です。

自分の美容院を開業すると考え始めた時点で、資金調達、借入について調べ始める人も多いです。

資金調達や借入について、多くの人はインターネットを利用して調べます。

インターネットで検索される内容がすべて正しいかどうかは別にして、情報収集の中で希望的観測や憶測が混じって、間違った解釈をしている人がいます。

・自己資金ゼロではお金は借りられない
・お金を借りる時に数字は関係ない!熱意さえあれば借りられる

資金調達や開業時の借入について、インターネットで調べた人の中には、上記の内容を思っている人がいます。

「自分熱意だけはあるので~お金借りられるんですよ~」

という人はいます。

実際は自己資金ゼロだとお金を借りられない、とは限りませんし、熱意があれば資金調達できるとは限りません。

正しい資金調達の方法を知って、計画的にお金を借りましょう。

目次

美容院の開業資金には1,000万円必要!?

美容院を開業する時には、1,000万円必要といわれています。

開業資金が必要とされる1,000万円はあくまで目安で、5,000万円だった、1億円かかった、と店舗の規模によって金額は様々です。

地方の山奥に美容師1人のお店と、都市部の真ん中にスタイリスト、アシスタント、受付も含めて15人のお店では大きく違います。

お店の立地や面積も違えば、セット面の数も違いますし、必要な美容機器の数や種類も異なるでしょう。

お店をオープンしたい地域や立地、店舗の規模や設備によって必要な開業資金の金額は変わります。

誰とどこにどれくらいの規模の店を作りたいのかを明確にし、それにはいくら必要なのか調べ、計算から始める必要があります。

美容院の開業資金 内訳と使い道

開業資金に1,000万円も何に使うんだ?と思う人も多いでしょう。

しかし、開業資金の1,000万円はアッという間になくなります。

店舗取得の初期費用と内装・外装工事費用、美容機器で1,000万円程度なくなる可能性は十分あります。

店舗を借りる場合は、家賃以外に初期費用も。

・家賃
・店舗保証金(敷金)
・礼金
・仲介手数料

仮に店舗を建てるのであれば、土地・建物自体の金額がかかってくるので、1,000万円では到底足りません。

店舗をテナント等で借りたら、美容院として営業するために内装・外装工事が必要です。

内装・外装工事費用以外にもセット面やシャンプー台の購入費用が掛かってきます。

運よく、もともと美容院だった場所をそのまま借りられれば、開業費用は大きく抑えられます。

美容院開業時に支払うもの

美容院開業時には、店舗取得費用から店舗内装・外装費用、美容機器、パーマ剤やカラー材、店販用のシャンプーなど多くの支払いがあります。

・物件取得費用
店舗を借りるのであれば、保証料や敷金、礼金、仲介手数料が必要です。
店舗自体を建てるのであれば、土地と建物の購入費用がかかってきます。

・内装・外装工事費用
開業資金のほとんどを内装・外装工事で使うでしょう。
もともと美容院だったところをそのまま借りられれば、内装・外装工事費用を抑えられますが、ほとんどの場合、過去の美容院をそのまま借りられるケースは少ないです。
内装工事には、天井や床、壁などの内装工事に加えて、給排水や空調、電気、ガスなどの設備工事もあります。
美容院の場合、保健所で決められた床の素材、セット面に応じた作業スペースなど、細かな基準があります。
すべての基準をクリアしなければ、保健所からの営業許可が下りません。
消防署の消防検査を受ける必要もあるので、工事業者には保健所、消防署の基準を満たしているか確認する必要もあります。

・美容機器(スタイリングチェア、シャンプー台、鏡、美容専門機材、ドライヤー等)
これから開業する美容院のメニューに応じて美容機器の購入も必要です。
1人だけで運営していくのであれば、セット面は2台で十分でしょう。
スタッフの人数によってセット面の数や、ドライヤー、コテ、コームなどの必要数も変わってきます。
スタッフの人数によって美容機器をそろえる数が変わるので、必要な金額は変わります。

・設備費
忘れられがちですが、美容機器以外の設備費用も必要です。
パソコン、洗濯機、冷蔵器、レジ、電話、ワゴン、待合ソファやテーブル・・・
今は顧客管理もパソコンで行う場合が多く、ホームページの管理や広告関係の管理にもパソコンは必須です。
接客時に使ったタオルやケープを店舗内で洗濯するのであれば、洗濯機も必要です。
お客さんにドリンクを出すのであれば、冷蔵庫やポットも必要になってくるでしょう。
すべて新品で揃える必要はありません。
徐々に揃えていくのも、中古で買いそろえるのもいいでしょう。

・材料費
パーマ材やカラー材、シャンプーやトリートメントなどの材料を一気に仕入れる必要があります。
材料を一気に仕入れるのは想像以上の金額です。
最初は必要最低限に揃えて、のちのち増やすのもいいでしょう。

・広告宣伝費
美容院はオープン前の宣伝が重要とされています。
特に美容院はコンビニより多いといわれ、競争はどこも激しいです。
都市部に美容院を作ったとしても、お客さんが一気に来ることはありません。
地方であれば、人口も少なく、昔からのなじみの美容院に行く人も多いのが現実です。
その中からあなたのお店を選んでもらう必要があります。
オープン前からのチラシ配布や広告掲載、ウェブサイトの作成などが必要です。

・運転資金
美容院の資金調達では、初期費用ばかりに注目しがちですが、運転資金も必要です。
開業後の売上がある程度見込めるといった場合でも、運転資金は用意しておきましょう。
最初のうちはお客さんが一人も来ない日もあります。
売上がゼロでも、経費を支払えるだけの運転資金を用意しておきます。
運転資金は最低でも3ヶ月分、理想は6ヶ月分用意しておくといいでしょう。

美容院運営で使うお金は想像以上

美容院開業後も運営に関する経費は想像以上にあります。

・スタッフの給料
・労働保険や雇用保険料
・パーマ材やカラー材などの材料費
・電話代やネット関連などの通信費
・求人や集客の為の広告宣伝費
・電気やガス、水道代
・ペンやメモ帳、洗剤、柔軟材などの消耗品
・お客さんが待ち時間に読む雑誌
・家賃
・銀行振込の手数料や、専門家(税理士等)に依頼した時の手数料
・美容保険料や損害保険料
・税金

毎月かかる経費の金額はもちろん店舗の規模によって違います。

スタッフを雇う場合は、労務関係の手続きやスタッフの税金関係もすべて自分でやらなければなりません。

もちろん自分の確定申告も必要です。

労務手続きや、税金関係書類の作成を自分でできない場合は、お金を払って専門家(社会保険労務士)に依頼します。

・給料計算や労務に関する手続きは社会保険労務士
・確定申告や年末調整などの税金に関することは税理士

実際に融資を受けるとお金に対する緊張感や慎重さが薄れる人も多いです。

最初から商売繁盛といった状況はほとんどありません。

お客さんの来ない日が続く場合もあります。

お客さんが全く来なくても毎月の家賃は発生し、水道光熱費もスタッフへの給料も支払わなければなりません。

前のお店で「あなたが独立したら絶対お店行くわ♡」と言っていた常連さんが、来ないこともあるでしょう。

特に多いのは、オープンすぐに1回来店があって、2回目以降は来ないお客さんです。

美容院を選ぶ条件は、美容師の人柄・技術だけではありません。

立地やお客さん1人1人の生活圏にも大きな影響があります。

毎月経費がいくらかかるのかを計算して、場合によっては運転資金用のお金を借りる必要があります。

上記にも記載していますが、運転資金は最低でも3ヶ月分、理想は6ヶ月分必要です。

美容院開業!お金の集め方

美容院の開業には大きく、設備資金と運転資金を用意する必要があります。

すべて自己資金で賄えればいいですが、難しいでしょう。

美容院の開業で設備資金、運転資金を集めるにはいくつかの方法があります。

・自分でお金を貯める方法
・親族からお金を借りる方法
・金融機関からお金を借りる方法

まずは自分でお金を貯めて開業

美容師になってからすこしずつお金を貯めて、自己資金のみで美容院を開業する人もいます。

自分のお店を持つためにお金を貯める方法は様々です。
・隠れて副業するなど、命を削るように働いてお金を貯める人
・給料から少しずつお金を貯める人
・給料のいい大手店舗で一定期間働いてお金を貯める人

自己資金のみで美容院を開業するのは不可能ではありません。

初期費用を抑え、自己資金の範囲内で美容院開業をするケースもあります。

親族が応援してくれるなら

親族からの資金援助で美容院開業をするケースもあります。

・「美容師になるなら」と親や祖父母が美容院開業の為にお金を貯めておいてくれた
・もともと実家や親族が美容院や理容院で、今ある店舗の一部もしくは全部を改装して開業

親族からの資金援助の場合、多額のお金をもらうので、贈与税を納付する必要な場合もあります。

王道は日本政策金融公庫から融資

美容院を開業する時の融資で、一番多いのは日本政策金融公庫からの融資です。

自己資金があっても、親族からの資金援助があっても、日本政策金融公庫からの融資を受けるケースは多いです。

自己資金や親族からの資金援助以外で、お金を集める方法は主に2つあります。

1つは融資(借入)

もう1つは助成金・補助金

最近はベンチャーキャピタルやクラウドファンディングは有名になってきています。

ただ、美容院開業の場合、あまり現実的ではありません。

美容院の開業をはじめ、創業時に利用するのは、基本的に政治系金融機関である日本政策金融公庫です。

地域によって、地方自治体が創業融資している場合もあります。

状況によっては日本政策金融公庫と、地方自治体双方からお金を借りるケースもあります。

【日本政策金融公庫からの融資】
日本政策金融公庫は「一般の金融機関を補完する機関」とされた政府系の金融機関で、国の政策に基づいて、中小零細企業や新規設立企業などにお金を貸しています。

日本政策金融公庫は民間金融機関の「補完機関」という立場です。

日本政策金融公庫は実績のない創業時に必要なお金を貸し、のちのち信用金庫や地元の銀行からの借入に移行できるように、サポートする機関とされています。

補完機関なので、それぞれの会社が民間金融機関から借り入れができるようにすることも役割の1つです。

日本政策金融公庫の創業融資は創業する人や条件によって、「新規開業資金」を利用する人が多いです。

日本政策金融公庫は、国の政策に基づいた政府系の金融機関なので、政府が創業推進している人には手厚い制度もあります。

政府系の金融機関で、創業推進しているとはいえ、お金を借りるには審査があり、審査が通らないとお金を借りられません。

【信用金庫・地方銀行からの融資も】

地方自治体によっては、創業融資の制度を用意しているところもあります。

地方自治体の創業融資の1つが、民間金融機関からの融資です。

地方自治体の創業融資は、地方自治体に支援をしてもらった上で、信用保証協会に保証人となってもらいます。

この融資は、地方自治体、金融機関、信用保証協会の三者が協力して実施されているので、融資に時間や手間のかかる傾向があります。

信用保証協会とは、お金を借りるときに保証人になってくれる公的機関です。

一定の保証料を支払う必要はありますが、保証人をたてる必要がなくなり、借り入れがスムーズです。

もちろん信用保証協会もお金を返せない人の保証人にはなりません。

信用保証協会にも審査があり、審査が通らない場合はお金を借りられません。

【助成金・補助金】
創業時や創業間もない店舗への助成金や補助金制度もあります。

助成金は厚生労働省や地方自治体が管轄しており、定められた要件を満たしていれば基本的に給付されるものです。

詳しく知りたい場合は、近くの社会保険労務士事務所に相談に行くといいでしょう。

補助金は基本的に経済産業省と地方自治体が管轄しており、事業内容の審査で採択されれば給付されます。

国や地方自治体が何らかの政策目的のために、起業家や中小企業を支援する制度です。

補助金の申請後、採択されれば経費の一部が後から国や地方自治体から補助されます。

補助金の申請には多くの書類が必要なので、認定支援機関と呼ばれる金融の専門家が代理で書類を作成してくれる制度もあります。

開業時に税金に関して相談する税理士がいれば、補助金申請の相談もするといいでしょう。
その税理士が認定支援機関に登録していれば相談にのってくれるはずです。

お金を借りるときの流れと必要なもの

金融機関は貸したお金を返してくれるところにしか、お金を貸してはくれません。

創業推進をしている政府系の金融機関である日本政策金融公庫であっても、創業融資を申請した会社のうち、希望額の借入ができるのは2割程度と言われています。

美容院開業でお金を借りるときに重視されるのは「事業計画書」です。

美容院開業融資の流れ

お金を借りる時は一般的に下記の流れです。

申し込み

面談

現地調査

融資実行

創業融資であっても、事業拡大の融資であっても基本的な流れは一緒です。

【申し込み】
所定の「借入申込書」「創業計画書」「見積書(設備資金の申し込みの場合)」などの必要書類を添付して提出します。

【面談】
申込時に提出した事業計画書等の書類を基に、審査担当者から質問を受けます。
事業契約書に関する資料や、資産と負債が分かる書類などを準備しておくとスムーズです。

【現地調査】
店舗や事務所等が既にある場合は面談後に現地調査が実施されます。
これから美容院を開業する場合も、開業予定地の現地調査がされます。

【融資の実行】
審査に合格し、融資決定後、契約手続きをします。
契約手続きが完了すれば、指定の銀行口座にお金が振り込まれます。

美容院開業融資には経験も必要

美容院開業をする時には、自分がどれだけの美容師経験があるのか示す必要があります。

・今働いている、若しくは今まで働いていた店舗での、開業する美容師個人の顧客数
・開業する美容師個人の顧客単価
・開業する美容師個人の毎月の売上
・今の顧客数のうち、何%が開業する店舗に来てくれる想定なのか
・今働いている店舗での立ち位置
・顧客や他の美容師との関係で気を付けている内容

これから開業する美容院に、勤務先のお客さんが継続して通ってくれる想定があるのは、融資審査では大きなポイントです。

自分の美容師としての経験を明記しましょう。

美容院開業時に助成金や補助金もチェックして

美容院開業時に、助成金や補助金が受給できるかもしれません。

助成金や補助金の要件に当てはまるかどうかチェックするといいでしょう。

助成金や補助金は融資とは異なり、返済しなくてもいいお金です。

助成金と補助金は混同されがちですが、明確には違います。

【助成金】
助成金は厚生労働省や地方自治体の管轄で、定められた要件を満たしていれば基本的に給付されるものです。

雇用関係の助成金が一般的で、人を雇うものから社員教育、働き方改革に関するものまであります。

美容院開業する時に、誰かスタッフを雇うのであれば、助成金を確認するといいでしょう。

助成金は定められた要件を満たせば、基本的に給付されますし、厚生労働省が推進している内容です。

特に美容院の場合、長時間労働が過去に問題となったケースもあります。

お店の美容師が長く働いてくれるのは、美容院を運営していくうえでメリットばかりです。

求人広告の必要もなく、新しく美容師を育成する必要もありません。

1人の美容師に長く働いてもらうためにも、助成金の内容を確認し、スタッフが働きやすい環境を整えるといいでしょう。

助成金は自分でも申請可能ですが、誰かに申請を依頼するのであれば社会保険労務士の資格を持った人である必要があります。

厚生労働省HP

【補助金】
補助金は基本的に経済産業省や地方自治体の管轄で、事業内容の審査で採択されれば給付されます。

国や地方自治体が何らかの政策目的のために、起業家や中小企業を支援する制度です。

補助金の申請後、採択されれば経費の一部が後から国や地方自治体から補助されます。

補助金は予算・件数に上限があり、必ず補助を受けられるとは限りません。

参照サイト

お金を借りるには事業計画書の作成が重要

創業時にお金を借りるには、事業計画書の作成が重要です。

事業計画書とは「これから行う事業をどう進めていくのか」具体的な計画を記載したものです。

通常、金融機関がお金を貸す時は「決算書」を分析して、返済能力がある相手か図ります。

ただ、美容院開業融資の場合、「決算書」はありません。

そのため金融機関は「事業計画書」を分析して、「この事業は実現可能か」「利益が出るか」を判断してお金を貸すか貸さないかを決めます。

事業計画書にはどこから仕入、誰にどのようなサービス提供するのか等を明記し、具体的で実現可能な業務・内容であると伝えます。

売上や経費、利益の計画を年度ごとに記載し、「この内容なら計画通りに売上や利益を出せる」と金融機関に思わせる必要があるのです。

特に売上に関しては、商品やサービスごとのニーズや想定される顧客数に基づき、具体的な内容でなければなりません。

また、補足資料としてグラフや表、写真などで分かりやすくまとめた資料を一緒に提出するといいでしょう。

事業計画書以外の資料でも、開業する美容院の魅力を伝えます。

また、仮に事業計画書に記載された内容に沿って事業が進んだ場合、貸したお金を毎月返済できる内容かどうかも確認されます。

お金を貸す金融機関としても、返済されなければ問題です。

金融機関はあくまで客観的な視点で、提出された書類を基にお金を貸すかどうかの判断をしています。

開業する人の経歴は重要視される

美容院を開業する人の経歴は重視されるので、お金を借りる時に、まとめておくといいでしょう。

金融機関では、美容院を開業する人の勤続経験を重視する傾向にあります。

特に美容師の場合、専門学校卒業後は長い下積み時代に入ります。

シャンプー練習から始まり、何年もカラー、パーマ、カット練習をしてようやくスタイリストです。

スタイリストになる前に辞めて、美容院開業だとお客さんが来るか不安です。

美容院開業でお金を借りるには「〇年以上の経験が必要」といった決まりはないですが、「これならお金貸しても毎月返してくれる」と思われる経歴を記載します。

上記にもありますが、勤務している、勤務していた美容院での個人の売上等も確認されます。

また、なぜ美容師になったのか、なぜ美容院を開業するのか、も事業計画書に明記しましょう。

開業する美容院の見通しを記載する事業計画書

事業計画書にはこれから開業する美容院の必要な資金と、資金の調達方法などの見通しを記載します。

事業計画書はビジネスの全体像・計画を記載したものです。

日本政策金融公庫をはじめとした金融機関は、事業計画書を分析して「実現可能な内容か」「利益が出るか」を判断して融資するか決めます。

融資審査は減点方式です。
・創業の動機
・経営者の略歴
・過去の事業経験
・取扱商品またはサービスの内容、売上シェア(%)
・セールスポイント
・取引先(販売先、仕入先、外注先)のシェア、掛け取引の割合、回収・支払条件
・必要な資金と調達方法(設備資金・運転資金)
・「創業当初」と「軌道に乗ったあと」の事業の見通し(売上高、売上原価、人件費、家賃、支払利息、その他)
・売上高、売上原価、経費の根拠

各項目に割振り点数が決まっていて、すべての項目の最高点を合わせると100点になる仕組みです。

社会貢献度が高く、開業動機が素晴らしいものであっても、割振り点数以上にはなりません。

売上や売上原価の数字が根拠のない数字の場合は、採点0点の可能性もあります。

融資申請する時に作成する事業計画書で、明確な答えを用意しなければ高い評価は得られず、お金が借りられない場合も。

融資申請後の面談では、事業計画書に書かれた内容を中心に質問されます。

事業計画書にあいまいな内容を記載すると、面談でもあいまいな回答しかできないでしょう。

面談では人柄も見られるので、堂々とした受け答えできるよう準備する必要があります。

現地調査がある場合、「活気があるかどうか」の確認もあります。

美容院開業時にお金を借りるのであれば、店舗は未完成の場合が多いです。

開業後に融資を受ける場合、従業員の態度も確認されるので、面接がある旨を事前に伝えておくといいでしょう。

【美容院開業時融資の注意ポイント】

創業融資を申請する際には、いくつかの注意ポイントがあります。

①創業融資は審査に通過しないと融資は受けられない
②創業融資の審査に落ちるとすぐに再申請できない
③希望額を融資されない可能性もある

いくら綿密な計画を立て、定期的な売上が想定される事業計画書を提出しても、上記の可能性はあります。

お金を借りるときは認定支援機関依頼するのも手

お金を借りる時にすべて自分で申請、手続きする必要はありません。

美容院開業の創業融資は、認定支援機関への依頼が可能です。

認定支援機関は、中小企業支援に関する専門知識や、実務経験が一定レベル以上あるものとして国の認定を受けた支援機関です。

税理士、税理士法人、会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等に認定支援機関の認定を受けている人がいます。

認定支援機関が作成した事業計画書は、提出先である日本政策金融公庫などの金融機関からの信頼が高くなります。

認定支援機関で作成された事業計画書は、基本的にはじめて作成されたものではありません。

内容も事業主が熱意だけで記載したものではなく、第三者と相談の上、計画を練り上げた上で作成されたもの、とされるからです。

数値も根拠のあるものが記載されており、信ぴょう性があるとされます。

また、美容院を開業する前は、何かと忙しいです。

・内装・外装工事業者からの連絡
・広告関連の手配
・商品や備品の仕入れ、手配
・消防署への手続き
・保健所への申請
・スタッフの確保
・税務署への手続き

人によってはギリギリまで勤務している場合もあります。

通常の美容師業に加え、開業準備、普段やらない融資申請書類の作成は大変です。

自分が得意なことは自分でやり、自分が苦手なことはプロに任せる方法もあります。

認定支援機関が作成する書類には根拠もあり、信ぴょう性が高いとされ、自分の苦手な書類作成を誰かがしてくれるのであれば、使わない手はありません。

認定支援機関はお金の専門家

認定支援機関は中小企業の経営者等に対応できる税務・金融・企業財務等の専門知識や、実務レベルが一定レベル以上の個人・法人・団体に対して国が認定する公的支援機関です。

資金調達を得意とする専門家が「認定支援機関」の登録を受けています。

創業融資の申請は自分でできますが、大変です。

・事業計画書の作り方が分からない
・本来の仕事の時間が奪われる
・非承認の場合でもすぐに再チャレンジできない

創業融資を受けるにあたって、日本政策金融公庫などに内容を聞きに行っても、専門用語が多く、すべてを理解するのは難しいでしょう。

作成する書類も多く、自分が何を作成しなければならないのか分からない人も。

本来の仕事に加え、創業融資の書類作成をするのは時間的にも大変です。

仮にどれだけ一生懸命、多くの時間を要して創業融資の書類を作成しても、お金を借りられなければ意味がありません。

融資が下りなかった場合は、すぐに再申請もできません。

そうなった時の対応も自分一人でやるのは難しいです。

借り入れはお金の専門家にお任せ

専門外の作業は誰か得意な人に任せた方がいいです。

借り入れはお金の専門家である認定支援機関に依頼すると楽です。

美容院の場合、経営者が美容師であるケースは少なくありません。

借り入れなどの作業は美容師の場合、専門外です。

美容師である経営者が、専門外である借り入れの作業をするのは時間がかかります。

美容師であれば、お客さん1人をカットした方が効率いい。

しかも普段パソコンで資料を作り、文章を書かない人にとって、多くの書類を作成するのは面倒でしょう。

創業融資を認定支援機関に依頼すると楽です。

・事業計画書作成はプロがお手伝い
・本来の仕事に集中できる
・完全成功報酬でリスクなし

事業計画書の作成は、これから行う事業の全体像・計画を可視化する行為です。

頭にはあらゆる創造や理想に埋め尽くされているしょうが、実際に事業計画書を作成していくと足りない部分が出てきます。

第三者に事業計画を見せると、理想だけではない現実を見ることにもなるでしょう。

認定支援機関は税理士をはじめとした、お金のプロとされる人たちです。

お金のプロからの指摘は現実を直視する必要があり、時に冷たく、理想からかけ離れたものの可能性もあります。

ただその部分を補えれば、理想に少し近づけるでしょう。

自分ではなかなか理想を言語化出来なくても、プロと一緒に作ると理想が現実に近づいていきます。

また、事業計画書を作成で、本来の業務に支障が出てはいけません。

プロに創業融資の申請を任せ、自分は本来の業務に集中し、少しでも売上を伸ばすよう動くのが事業にとって重要です。

創業融資を受け付けている認定支援機関の多くは完全成功報酬。

お金を借りられた場合、借りた金額の一部をパーセントで支払うところが多いです。

お金を借りられなければ認定支援機関に料金を支払う必要もありません。

事業に関する内容すべてを、自分1人でやる必要はありません。

得意な誰かに依頼して自分の業務に集中するのも1つです。

創業融資はプロに任せて、自分の仕事に集中しましょう。

この記事の執筆者
おまかせTAX/檜垣昌幸税理士事務所
代表税理士 檜垣昌幸
会計ソフトの販売、自動車販売会社、税理士事務所を経て2018年に税理士として独立。
個人・法人の税務を中心に、無申告や税務調査の対応や補助金や融資の申請支援も積極的に行っている。

※本記事の投稿時点(2023年2月3日)の法令・情報に基づいて作成しました。
その後の法改正等に対応していない可能性がありますので予めご了承ください。

※万が一掲載内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当方は一切責任を負いません。

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